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エラの骨を削るということ! PART3

輪郭「エラ」: エラの骨を削るということ! PART3

エラ削りは、美容外科で行う顔面骨形成術の中で最も多い手術の一つです。

頬骨や顎などで行う、骨切り後に骨を動かしワイヤーやプレートによる再固定を行う手術に比べ、骨のボリュームダウンを図るのみのエラ削りは比較的単純な手術と言えなくもありません。

ただし、一度切ったり削ったりした骨は基本的に戻せないため(シリコンやアパタイトで再建する治療はあります)、彫刻を行うような繊細な作業が求められます。

余程頬や顎に肉が付いている方でない限り、下顎の骨格の形状は外見に現われます。

ですから一旦エラ削りで不自然な骨格を作ってしまえば、特に横顔でこれが明らかに目立ってしまうことになります。

実際、外来で過去にエラ削りを受けた経験のある方を拝見すると、こうなっている方は少なくありません。

幸い(?)横顔を自分で見る機会はほとんどないため、ご自分では気づいていないケースも多く、その場合はあえて指摘はしないのですが、やはり職業柄非常に気になります。

もちろん、それを気にされて来院した方には自然な形状にする最善の治療法を検討するのですが、当然再手術は初回手術に比べ困難な場合が多く、最初からきっしりとした手術を受けるに越したことはありません。

エラ削りという手術は「角を落とす」という作業と「面を削って薄くする」という作業の二つから成り立っています。

もちろん、部位によってはその二つを微妙に組み合わせて行う事もありますが、その場合も基本的にこの二つの作業をしている事には違いはありません。

前回お話ししたタイプのうち、タイプⅠはこの「角を落とす」という作業のみでほとんど完成します。

「角を落とす」といっても、骨棘部分を落とすだけでは横顔の形成に不十分な場合が多く(詳しくは後ほど)、もう少し広範囲の切離が必要になりますが、少なくとも正面から見たエラは骨棘が無くなるだけで大きく変化します。

これがタイプⅡやⅢでは、前回もお話ししたように「角を落とす」だけでは少なくとも正面のフェイスラインには大きな変化が期待できません。

こういったタイプでは体部の広範囲にわたり皮質(骨の硬い表面部分)を削る作業で骨を薄くしていきます。

体部の広範囲にわたり皮質(骨の硬い表面部分)を削る作業で骨を薄くしていきます

当然薄くすればするほど効果がありそうですが、骨の構造上どこまでも薄くできる訳ではありません。

どこまで薄くできるかを理解していただくために、ここで少し頭蓋骨の構造について説明しておきます。(ちょっとややこしいかもしれませんが、ご容赦ください。)

腕や足の長い環状の骨を長骨(又は長管骨)と呼ぶのに対し、頭蓋骨のような薄い板状の骨を一般的に扁平骨と呼びます。

いずれのタイプ骨も外側を皮質(もしくは緻密質)と呼ばれる固い実質が覆い、内部は海綿質という網目状の軟らかい骨でできています。

長管骨の構造

長管骨は海綿質のさらに内側に髄腔と言われる骨髄が集まった部分がありますが、扁平骨の骨髄は海綿質の中に存在し、髄腔を形成することは一般にありません。

ですから、この扁平骨は皮質(緻密質)が2枚の板状になり、その間に海綿質が存在するサンドイッチ構造になっています。

扁平骨の構造

この二枚の皮質の板を頭蓋骨では外板および内板、そして間の海綿質部分を板間層と呼びます。

外板および内板

骨棘などの極端に薄い扁平骨部分では板間層が無く、内板と外板が癒合して1枚になっています。

下顎体部を薄くするためには、この外板を削っていくわけですが、ある程度削っていくと皮質が無くなり海綿質になってしまいます。

皮質と海綿質

下顎体部の外板自体を大きく剥がしてしまう「外板切除」という手術もありますが、海綿質が広範囲に露出してしまうとその後の出血も止まりにくく、海綿質の中を走る下歯槽神経を損傷する心配もあります。(外板側ぎりぎりで剥離できれば、神経自体を傷つけることはありません)

また、一時的にせよサンドイッチ構造が片側だけになる事による強度的な心配も無いとは言えません。

そのため、私自身は外板の皮質を広範囲にかなりぎりぎりまで薄くすることはしても、外板自体を剥がすようなことはしません。(あくまで私自身の考えで、外板切除を否定するわけではありません。)

もちろん骨を切離した断端とその近傍は海綿質が露出しますが、これが大きな面になることはありません。

タイプⅡやⅢの方に行うこうした皮質を広い範囲で削っていく手術は、骨棘部分の角を落とすだけの手術に比べ手間と時間がかかります。

でも、それほど苦労して手術をしても、下顎角の外側への張り出しが強い方(つまりタイプⅠ)ほど大きな変化につながらないこともあります。

エラの骨切りを考えている方は、ご自分がどんなタイプで手術でどんな手術が必要なのか、手術でどの程度変わるのかを術前にしっかり把握する必要があります。

そのために、術前のレントゲン撮影とそれに基づいたシミュレーション画像の確認は必ず行うべきだと思います。

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